成熟化した日本経済のなかで、成長と利益を追い求めてきた日本の銀行のビジネスモデルは転換点にあるといわれて久しくなりました。 規模と効率を追求する、これまでの手法だけでは多く銀行は生き残れないともいわれています。 日本の銀行は、いよいよ、みずからの存在理由にたちかえるべきタイミングにきているのかも知れません。
一方で、世界には、利益よりも価値に重きをおいている銀行が多く存在しています。 実態経済に軸足をおいて、持続可能な社会や環境を未来にもたらすことを存在理由としている銀行です。 これらの銀行は、規模は小さくても世界の主要銀行をしのぐ財務的なパフォーマンスをあげながらその勢いを急速に拡大しています。
GABV(The Global Alliance for Banking on Values) は、このような「価値を大切にする金融」を実現するためにグローバル規模で連携するネットワーク組織です。東京に本店をおく第一勧業信用組合がこれまでの人とコミュニティを大切にする金融機関としての取り組みが評価され2018年7月に厳しい審査を経て日本で初めてのメンバーとして加入しました。
これは、日本本来のコミュニティ金融のスタイルが世界から認められたという、とても大きな出来事でした。しかし、日本ではこのような「価値を大切にする金融」はまだまだ主流とはなり得ていないばかりか、発展途上とさえいえない状況です。
JPBVは、日本において「価値を大切にする金融」を広めていきたいという願いを持つ有志によって2018年12月に設立されました。 その後、会員数と活動内容と拡大したことをうけ、2020年に一般社団法人化いたしました。 私たちにはこれまでのビジネスモデルの限界を乗り越え、この国らしい人々の繋がりや循環を大切にする価値観を大切にする金融を再定義したいという願いがあります。 未来のいつの日か「平成が終わったあの時代に、日本で新しい金融が芽吹いた」といわれるよう、ともに学び、実践していく仲間となってくれるみなさまのご参加をお待ちしています。
価値を大切にする金融とは、持続可能な社会・経済・環境の発展をもたらすために「お金」という手段を活用していこうという考え方です。
すべての人々は、「よい社会を未来に残したい」という願いを持っている、その潜在能力を発揮できるコミュニティを形成していくことによって、社会課題の解決する機会を得ることができます。
JPBVではこの「お金」の役割を満たすために金融機能を再定義し、「利益を大切にする金融」が主流である現代の金融システムの代替手段として普及させていくことを目的としています。
GABVはリーマンショックに代表される実態経済とかけ離れた金融が生み出した弊害から、コミュニティに根ざした持続可能な社会を実現する金融機能を取り戻すため、2009年に共通の願いを持つオランダのトリオドス銀行、ドイツのGLS銀行等によって結成された国際的ネットワーク組織です。 持続可能な経済・社会・環境の発展の実現を使命とした「バリュー・ベースド・バンキング(価値を大切にする金融」を標榜しています。
メンバーになるためにはその国の規制された要件を満たす預金取扱金融機関であるだけではなく、GABVの6原則に沿った厳しい審査とコミットメントが求められますが、2019年3月時点で各大陸にわたる世界の54の金融機関で構成されるまでにメンバーが拡大しています。 トリオドス銀行のCEOであるピーター・ブロム氏が議長をつとめています。